++時雨++


その日 扉は開かれた
僕は鏡に映る誰かを見て 光のある方向へ歩み出した

誰も知らない この瞬間を
そこにあった感動を
いつまでも忘れたくはないよ
犯された時間に入り込んで

生きている感覚に目覚め
本当は知らなくて良かったことで
曖昧な昨夜(ゆうべ)の月は照らした

明け方 雨音で起き上がって
飛び出してみたいと思った けれど
昨日見た雷が僕の心に落ちて
またいつもの自分で留まった

そして 扉は閉められる
鍵をかける音
待って 行かないで

走り寄った扉の近く
そこにいつか見た誰かが存在していた

いつか分かるのかな
いつか消えるのかな
この瞬間も あの瞬間も

いや
僕が消えてしまえばいいのに

扉の向こうに残してきた足跡 残り香
その世界を汚してしまった罪を
早く下して

いつか 扉は開かれる
本当の感動を知るときに

僕が 消えてしまった その時に





No,719   2009.5.17


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