12.子ども相談室
どうなんだろうなぁ。と頭を抱えた。
何がどうなのって、百のことである。
机の上には、綺麗に片付けられた宿題。百とやった、宿題。
それをぱらぱらめくりながら、私はまた一つ溜息を吐く。
だって。結局彼は私と泉君が付き合ったって、
別にどうでもよさそうなのは変わらないようだったし。
ていうか、なぁなぁのまんま終わっちゃったからなぁ…。
彼が私に対して抱いてる気持ちなんて、最初から全然わかんないし。
泉君の件もどうにかしなきゃなぁ。
あのままじゃあんまりに失礼だからね。
一度ちゃんと話をしなきゃいけないなぁ。
泉君はきっと…私の答えなんて知ってるんだろうけど。
それでも言うのが誠意ってものだろうし、けじめってもんよね…。
たとえ泉君を傷つけるのだとしても、私は嘘なんかつけない。
そんな失礼なことはしないし、自分に嘘はつかない。
て思っても…
「やっぱり…気まずいわよねぇ…」
溜息は尽きない。
組んだ腕に顔を突っ伏して、また溜息。
百は…百は私を、どうしたいんだろ。
それとも、「どう」なんてことを、そもそも想ってくれてないのかなぁ…。
またまた溜息。
そう。神様の考えてることなんて、人間の私に分るわけないのに。
ふぅ。とまたまたまた溜息を吐いて、何気なく机の上にある本をめくってみる。
…これも、あの時百と読んだ本。
何か百とはいつも馬鹿なことばっかりやってるよなぁ…。
思い出してちょっと苦笑を零すと、不意に一番最後のページ、
裏表紙の差し込まれた図書カードが目に入った。
「…げ、返却日今日までだよ…」
現在午後2時半。
丁度陽が高いし、何だか外に出たくない気分なんだけどなぁ…。
でも、と思う。
返却期間過ぎたら、きっとまたあの蒼白委員長こと、天海先輩は物凄く怒りそうだし。
仕方ない。学校に行くか。
重い体を無理に机から引き剥がして、私はまたまたまたまた溜息を吐いた。
外は想像以上の暑さだった。
じりじりと照りつける陽を受けて、アスファルトから陽炎が見えた。
ジワジワと鳴き続ける蝉の大合唱に顔を顰めると、余計に暑さを感じてしまう。
しかもこんな日に限って風が無くて、だらだらと流れてくる汗をタオルで拭いながら、
無駄に退屈に続く田舎の道を歩く。
道端のわさわさと茂る緑を見て、ふと思う。
こんな暑さじゃ、きっと緑もしおれてしまうだろうに。
そういえば、以前百も暑い日には乾くのが嫌とか何とか言ってたなぁ…。
あいつは大地の神様だから、植物が水不足だったりすると、それに感化されて乾くのかしら。
そんなことを取りとめもなく考えながら、私は陽炎の道をひたすら黙々と歩く。
通りには誰も居ない。
そりゃこんな暑い日には、誰も外に出たくないだろうしね…。
百も真貴さんも泉君も、今頃何してんだろうなぁ。
…百に出会ったこの通りも、今日は誰もいない。
こんなにも蝉の鳴き声が五月蝿いのに、やたらと辺りが静かのような気がする。
暑くて息をするのも苦しいような道を、一人で歩く。
何だか…世界に一人ぼっちになったみたい。
どこまでも続くなだらかな道。眩しくて今にも刺し貫くような日差し。
それを受けてうろんげに照り返すアスファルト。萎れたように、無風に身を任せる緑。
そして、その中をぼんやり歩く私。蝉の声に、今にも気がふれそう。
まるで私の気持ちが一人で彷徨う様を、具現化されたような錯覚を起こす。
…きっとこんな場所には、百だって来れない。
何て寂しい道。
気付けば、図書室の前に立っていた。
考え事をしていた所為か、どうやって歩いてきたのかさえ定かじゃないけど…。
そういえば、此処も前百と来たよなぁ。
…今日は昨日のことがあったからかもしれないけど、百がいない。
そう毎日会えるわけじゃない相手なんだろうから、別に普通のことなんだけど。
…いくら悩んでても、やっぱり会いたいのよねぇ…。
はぁ。
溜息を吐きながら、扉を開けた。
図書室はしんと静まり返って、クーラーがのんびりと風を送っている。
落ち着いた図書室の空気が何となく心地よくて、やっと一息つく。
そしてカウンターに向かうと、矢張りというか何というか、見知った影が。
「…一応返却日を守っているんですね」
こっちを見もしないで、先輩はぺらりと本のページをめくった。
カウンターに何となく手を着いて、曖昧に頷いた。
…何か、だるいなぁ。喋るのもだるい。熱中症にでもなったのかな。
本を鞄から取り出してカウンターに置くと、先輩は黙って受け取り、返却処理をする。
先輩が一つ頷いたのを見ると、もういいのだろう。あとはまた、同じ道を辿って帰るだけ。
けど。
…けど。
「…まだ何か用ですか?」
訝しげに先輩が私をちらりと見上げて、眼鏡のブリッジを指で押し上げた。
「……先輩、ちょっと涼ませて」
疲れて動けないのよ。
呟いてずるずるとしゃがみこみ、カウンターを背もたれに床に座ってしまった。
はぁ。
何となく見上げた本棚は、前に百が乗っかってた本棚。
あのときは、先輩に百が見えないこと分ってても、凄く焦ったんだっけ。
…はぁ。
「…涼むのは勝手ですが、其処は邪魔です」
徐に頭上から声が。と思ったら、天海先輩が立ち上がり、
カウンター越しに私を見下ろしていた。
相変わらず蒼白な顔色に、何の感情も示さないで。
…そうよね。こんなとこに居たら邪魔よね。
妙に納得しながらも、身体が動かない。何か、変に気だるい。
「…そうですか」
苦笑しながら見上げて、ぼんやりその顔を眺める。
シャープな輪郭に、白い肌。よく見ると、女の子が好きそうな顔をしている。
「分ったのなら、どいて下さい」
そういうクールなとこも、結構女の子受け良さそうよね。
ほら、くーるびゅーちーってやつだ。
「…聞いているんですか」
聞いてますとも。
百程じゃないけど、そうやってドスきかせた低い声出すと、いい声。
「全く…」
私が全く聞いていないと思ったのか、先輩が席を立つ。
何をするのやら、と動きを黙って目で追っていると、先輩はカウンターから
続く図書委員の控え室のドアを開けた。
そして振り返り、一度大きく溜息を吐いた。
「何を疲れているのか知りませんが、休むならこっちで休んで下さい」
*******
部屋は益々静かだった。
午後の退屈な光が差し込むそこは、簡単なテーブルとソファ、それに中から書類が
はみ出している戸棚だけの、質素な部屋だった。
通されて、おずおずとソファに座る。
所々黒い皮が破れて、中の黄色い綿が見えてしまっている。
腰掛けて、一息つく。
ぼんやりと外の景色を眺めていると、図書室に帰ったとばかり思っていた天海先輩が、
ドアを開けて入ってきた。
…何だか頭がぼうっとして、先輩が向かいのソファに座るのを、何処か夢見心地で見ている。
「…で。何ですか。そう人の顔をじっと見ても、どうしようもないですよ」
彼が足を組んで尊大に人を見下ろしながら、呆れたような溜息を吐く。
「…何って、何ですか?」
私はただ本を返しに来ただけだし…あ、何でそもそもこんな部屋に通されたんだか。
まさかお説教かしら。
純粋に疑問に思えば、先輩はちょっと言いにくそうに、視線をうろうろと彷徨わせる。
眉間に皺まで寄せちゃって…何を言い出すんだか。
「…何。先輩」
ちょっと変だ。今日の先輩は。
訝しげに尋ねれば、諦めたように溜息をつく。
今日は溜息のオンパレードねぇ。なんて思ってれば、いかにも面倒そうに、先輩が吐きすてる。
「…何か悩んでいるのでしょう?辛気臭い顔が非常にうざったいので、
いっそ聞いてやってもいいですよ」
分らない人ですね。
呟いた彼が、眼鏡のブリッジを中指で押し上げ、かちゃりと軽い音を立てる。
いかにも作ったような厳しい顔は、照れているのか、本当にうざったいのか。
一瞬驚いて大きく目を見開いたが…それは徐々に、元の大きさよりも細くなってゆく。
意地悪な奴だねこいつは…何か悩みでもあるの、くらいに言ってくれてもいいじゃないのさ。
「…先輩に私のよーな乙女の悩みが分るってゆーんですか」
ジト目で先輩を睨んでいると、先輩も負けじと鼻で笑う。
「何を言っているのやら。あなたみたいな小学生が、一端に乙女と名乗りますか。
…鏡で自分の顔をよくご覧になっては?」
ふふん。とニヒルな笑みを浮かべる彼は、まさに、まさに…悪の帝王!
それが似合ってるから、またムカツク。
「ふ、ふん!先輩なんて水虫になっちゃえばいいのよ。
私はねぇ、茨の道のよーに辛い片思いをしてるわけ!」
その相手には全然相手にされないし、身分違いもいいところなのさ。
一気に気持ちが溢れたみたいに口走ってから、ふとまた力が抜ける。
へにゃ。とソファにへたりこんで、また溜息。
あーあ。そうよね。百と私じゃ、そもそもの生い立ちが違いすぎるのよねぇ。
神様と、ヒトだもんなぁ…。
「…浮き沈みの激しい人ですね。全く…」
呆れ顔の先輩まで溜息をつく。
でも…ただの八つ当たり、だよね。これって。
…それを一応受けとめてくれてるってことかなぁ。
「…好きなら好きだと、余計なこと考えずに言えばいいではないですか。
…ほら、もう解決しました」
ひらひらと手を振って、追い払うような仕草をする。
早速面倒くさくなったらしい。
…自分から聞いておいて、この変わり身の速さはある意味尊敬する。
「…言えたら苦労しないわよ」
「はぁ?…何故言えないのですか?あなたのような猪突猛進馬鹿が」
猪突猛進馬鹿…。酷い。でも当たってるのかも。
「……だって、今の関係が壊れるのが嫌なんだもん。言ったら、もう会えなくなりそう」
百が、私の前にもう現れてくれなくなる。それって凄く怖い。
想像しただけでこんなに怖いんだから、実際になったらもう、きっと暫くは再起不能だろうなぁ。
でも、凄く容易いことなんだと思う。百は何でも出来るもの。
きっと私に姿を見せなくすることくらい、簡単に出来る。
「…じゃあなたは一体、何をどうしたいのですか」
言われて、ちょっと考え込む。そういえば、そんなこと、具体的には何も考えてなかった…。
けど、とりあえず分るのは。
「…一緒に、居たい」
出来れば、ずっと。
言った後。急に気恥ずかしくなる。ずっと、だなんて。
仮に今のまま何もなく、上手く関係が築けていったとしても、
神様はそんなに一緒に居てくれるもんなんだろうか?
人間相手でさえ図々しい願いだよね…。
対して先輩は、軽く首を振ってまた溜息。
「…ならば、それでいいんじゃないですか。余計なことは言わずに、一緒に居れば」
「そうよねぇ…そうなんだけど」
そうなんだけど。言ってしまいたいっていう、我侭な欲望も、あるわけよ。
勿論、百がいなくなっちゃうなら、今のままがいいんだけど。
「大体、相手が既に誰かを想っているということも、あるわけですし」
それには、ちょっと驚いた。
そういえば、そうである。永く永く生きているんだから、
既に誰かを好きだったとしても、何らおかしくはない。
今までどうして気付かなかったんだろう…。
「…そう、よね」
「今まで気付いてなかったんですか、あなたは…」
またまた呆れ顔だ。
「……でも、それは仕方のないことよねぇ…」
見た目だけはすんばらしい神様だし。いくらモテてたって、おかしくない。
それに対して私は…ぼんやりした若輩者だし。
胸もなければ睫毛もないよーな、要するに色気は皆無だ。
きっと百が好きになるような人(?)は、ナイスバデーの…そう、ボンドガールみたいな、
あーゆー「美しさの殿堂!」みたいな人なんだろうなぁ。
「…私がボンドガールになるには、生まれ変わらなきゃ無理だわ…」
蒼白な顔でぼそりと呟いた言葉に、天海先輩が訝しげな視線を送る。
「…ボンドガール…?何の話ですか…」
「人類の理想のハナシよ…」
「……」
先輩は不審者を見る目つきだが、これは事実だ。
ボンドガール…ボンドガール…無理だ。絶対。
第一、腰骨の位置が無理だ。奴等腰骨の位置が高すぎる。
「…何でもいいですけど、そろそろ図書室閉めるので、出てって下さい」
いよいよ私が逝ってしまったと思ったのか、
先輩は時計を見ながら、ポケットから鍵を取り出した。
「…まだ話は終わってないですよセンセー。
どうやったらボンドガールになれるのか、とっくり話しましょうよ…」
「…あなたバカじゃないですか?バカなんでしょう?バカでしょう?」
酷い。結構酷い。人が真剣にボンドガールについて悩んでるのに。
********
その後、半ば強引に図書室の外にぽいっと放り出されて、夕暮れの校舎を後にした。
暮れかけた空は紫で、小さく見える夕陽の朱が遠かった。
涼しくなってきた風を受けて、ちょっとすっきりしたことに気付く。
先輩にとっちゃいい迷惑だったかもしれないけど、やっぱり人に話すことですっきりする。
…それに、何だかんだ言いつつちゃんと聞いてくれたみたいだし。
元々はいい人なんだろうなぁ。ちょっと言葉に棘がありすぎるけど。
メアドでも聞いておけばよかったかも…教えてくれるかどうかも、分んないけど。
ぼんやり見上げた空には、食べかけのクッキーみたいな月がしょぼんと浮いている。
幽かに赤く色づいた月は綺麗で、知らず好きな歌を口ずさみながら歩いた。
音痴だけど…誰もいないし。まぁいいとして。
青紫の空から、ふと視線を戻す。
そこは初めて、百に会った場所だった。しかし今は違う人物が、手持ち無沙汰に立っていた。
思わず私の音痴な唄も、足も止まる。
「…やぁ、佐野さん」
夕闇に照らされた彼は、相変わらず可愛いまま。
ぎこちなく笑いかける様子が、どこか痛く見えた。
それ以前に下手な歌を聞かれたことにも、ちょっと胸が痛む。
…それはともかく。
「…泉君」
心臓が急にドキドキいいだして、急速にあの時のことを思い出していく。
彼の白いシャツに夕陽の赤が反射して、何だか血を流してるみたいに見える。
あれきり、会っていなかった泉君。
ずっとどうしようかと思っていたけれど、
こんなにもあっけなく会ってしまうと、何だか拍子抜けしてしまう。
「図書室の帰り?」
「…うん。天海先輩に怒られちゃうしね」
多分私も今、ぎこちないんだろうな。
泉君の目を見ようとしても上手く行かない。
「…い、泉君は?」
普通に話そうとしているんだけど、何かが上手くかみ合ってない感じがした。
わざと遠くを見るように目を逸らした私の横で、泉君も同じように視線を逸らすのが分った。
「佐野さんを、待ってたよ」
驚いて、咄嗟に泉君を見上げる。
彼は私をちょっと見下ろして、ふと真面目な顔になる。
「あのさ…まずは、ごめん」
強引にキスしちゃったし。
自虐的に呟いて、泉君は少し自嘲したようだった。
その時のことを思い出して、私も俯く。赤い顔を夕陽のせいにしようと。
「でもさ、俺は…何ていうか、やっぱ好きなんだよ…」
言いながら、泉君はずるずるとその場にしゃがみこんで、大きな溜息を吐いた。
その間に、私は意を決してつばを飲み込む。
「…あの、泉君…私ねっ…」
言わなきゃならない。きっと今此処で。
泉君と同じ目の高さになるようしゃがみこんで、その綺麗で大きな瞳を見つめる。
泉君もその気配を察したのか、分りきっている苦笑で、私に視線を向けた。
「…好きな、人が…いるんだ」
だから。ごめんね。曖昧な態度とって、ごめんね。泉君の気持ちから逃げて、ごめんね。
最後は喉の奥がからからに乾いて、気が付けば視界がどんどんぼやけて行った。
好きだと言ってくれたのは、凄く嬉しかった。けど、私は、百が好きなんだ。
あんまりに泉君を傷つけてしまったことが申し訳なくて、どんどん涙が溢れてくる。
泉君も私が百を想うみたいに、いつも私のことを想っていてくれたんだ。
この期に及んで泣くのは私に相応しくない気がして、私は顔を背ける。
今本当に泣きたいのは泉君だ。なのに何故私が泣くんだろう。
泉君は暫く夕陽を眺めるようにして、遠くを眺めていたけれど。
ふと一つ小さく息を吐いた。
「それって、百?」
問われて、小さく頷く。
もう逃げられない。この自分の気持ちから。
「そうだと思ってたよ…だから、ね?」
ちょっと声の調子が変わって、目をごしごしこすっていた私が振り返ると、
その表情は晴れやかで、まるで普通にしてるときの、あの可愛い萌えキャラの泉君。
「俺、絶対諦めたりしないよ。伊達に長く生きちゃいないさ、俺はしぶといんだ」
うふっ★と上目遣いの泉君に、今の立場も忘れて鼻血ふきそうなる。
泣きながら鼻血出す女…それってどうなんだろう。
慌てて鼻を押さえながら、呆然と泉君を見つめる。
「い、泉君…?」
「だって、俺今年で500歳だよ?500年生きてても一度しか会えない佐野さんに、会えたんだ。
それだけも、幸せなんだと思うよ」
ご、ごひゃくさい…?!つまり、泉君は五百歳の萌えキャラ!!
あまりのことに涙も鼻血も忘れてひっくり返りそうになる。
「そっ、そんなに生きてたんだ…?!」
平静を保とうとするが、私の頭の中は軽く混乱している。
以前百が、泉君が物の怪だとは言ってたけど…まさか、そんなに生きてたなんて…。
「そうだよvぜぇったい、佐野さんを振り向かせちゃうんだ」
言いながら、器用に片目を閉じてみせる。その素晴らしさはアイドル級だ。
嗚呼…不謹慎だけど…不謹慎だけど…可愛い!!マジ萌え!!
出そうになった鼻血を抑えて、私は苦笑する。
きっと今の顔は恐ろしいだろう…鼻血を必死に抑えて引き攣る顔で、苦笑。
凄く変だ…でも泉君が可愛いからしょうがない…。
「泉君…」
嗚呼。真面目な顔をするのがこんなに大変だったなんて。
「絶対、ぜぇぇぇったい!諦めないからね!
だから俺、どんどん可愛くなっちゃうんだからv」
そう。可愛くなっちゃうんだ。どうしよう。
百とどーこー以前に、出血多量で死ぬかもしんない。
…もしかしてそれが狙いなんだろうか。
けど、そんな風に言って楽しそうに笑う泉君を見てたら、何だか私まで元気になってきた。
そうよね。簡単なことだったんだ。
ごめんね泉君。
だけど私だって、百を諦めないよ。
百が私を見てくれるように、努力するから。
諦めてたら、ダメだよね。相手が神だろうが仏だろうが、
私はヒトで、女の子らしく、頑張るだけだよ。
どうでもいいことかもしんないけど、今度天海先輩にも話しちゃお。
密かな私の決心。
つづく。
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